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滝沢こずえオフィシャルブログ 一意専心

クロスカントリースキーについてvol.2~FISポイントとは〈基礎編2〉~

〈基礎編1〉では、FISポイントは少なければ少ないほど、速い(強い)ということをお伝えしました。この〈基礎編2〉では、なぜクロスカントリースキーがこのようなポイント制なのか、2つの背景を説明していきます!

1つ目は、クロスカントリースキー競技は毎回条件が変わるということです。
たとえ同じ種目であっても、雪質やコースレイアウトが全然違います。同じ「10kmクラシカル」種目だとしてもAコースはガリガリのアイスバーンで滑る雪質、さらには高低差があまりなく平坦なコースに対して、Bコースは雪が降り積もり、新雪であまり滑らない雪質、さらに1kmを超える登り坂が続くような高低差の激しいコースだとしたら、タイムが大幅に変わってきます。

また、同じ「Aコース」で同じ「10kmクラシカル」が行われても、1月と3月では雪質が全く違いますよね。
陸上の400mトラックや、競泳の50mプール、スピードスケートの400mスケートリンクなどと違って、クロスカントリースキーは様々なコースレイアウトが存在し、雪の状況も毎回違うため、記録を一概に評価することができないのです。
したがってクロスカントリースキーにはコースレコードや世界記録といったものがありません。

2つ目は、出場選手のレベルが違うことです。

FISポイントが与えられるFISレースはたくさんあり、強豪国ノルウェーで行われるFISレースもあれば、日本で行われるFISレースもあります。世界各地で行われているFISレースを一概に1位100点、2位80点、3位70点…とポイントを与えるわけにはいきません。
ヨーロッパで行われるFISレースには、ワールドカップで何度も優勝するような選手が出場し優勝していますが、アジアで行われるFISレースでは、ワールドカップで50位台の私が優勝しています(笑)
なので、順位に対して決まった得点ではなく、大会のレベルに合わせて出場した選手全員にFISポイントが与えられているのです。

そしてFISポイントとは、以下2種類のポイントで構成されています。
ペナルティーポイント…出場選手のレベルで決定され、レースの基準となるポイント。
レース・ポイント…優勝者とのタイム差によって与えられるポイント。

つまり、出場選手が獲得するFISポイントはこのようになります。
優勝者:ペナルティーポイントのみ
2位以降:ペナルティーポイントとレース・ポイントの合計

ペナルティーと聞くだけでマイナスなイメージを抱きやすいですが、ここでは、出場者のレベルを示すもので、そのレースのスタートラインになります。ペナルティーポイントが少なければ少ないほどレベルの高い大会ということになり、レベルの高い大会でなるべくトップになることで少ないFISポイントを獲得することができます。

実は、「レースに出場しない」ということが一番ランキングが上がりません。
現に、私は昨シーズンに200点を超えるFISポイントを獲得していますが、反映されるのは上位5つなので問題ありませんでした。恐れずに挑戦していくことは大切なことです。

タイムを競うクロスカントリースキー競技が、なぜポイント制で、なぜ速い選手ほどFISポイントが少ないのか、分かっていただけたでしょうか!?

次回は「FISポイントについて〈応用編〉」です。
実際にFISポイントの算出方法を実例で説明するので見てみてください!!