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ショートトラックの一撃必殺!?『足出し』とは?

こんにちは!

今日は久しぶりにショートトラックの豆知識をご紹介したいと思います!

前回の更新で前を滑る選手とわずか0.01秒の差で決勝進出を逃したと書きましたが、そもそもショートトラックでは、フィニッシュの判定を体のどの部分で行っているかご存知ですか?

陸上競技では、「トルソー」と言われる体の胴体部分がフィニッシュラインを通過した瞬間がフィニッシュとなりますが、ショートトラックの場合、それは「ブレード」で行われます。ブレードがフィニッシュラインを通過した瞬間で、タイムや着順が決定します。

陸上選手たちが接戦になったとき、胸を前に突き出して、少しでもタイムを速くしようとしている光景は見たことがあると思います。それと同じようにショートトラックの選手は接戦になったとき、上の写真のように自分の足を前に出して、相手選手より先にフィニッシュしようとします。

このフィニッシュ時に足を前に出すことを、ショートトラック界では「足出し」と呼んでいます。

ショートトラックのフィニッシュは、1/1000秒まで観測できるスリットカメラで撮影されます。勝敗が際どいフィニッシュシーンでも1/1000秒までしっかりと判定してくれるので、最後の粘りが勝敗を分けます。

ではここで、実際に「足出し」がどれくらい重要か写真を使って説明したいと思います。上の写真では、私は先頭でフィニッシュしているので、足を出していません。

そこで、「足出し」をしていない私を、しっかりと「足出し」をしている選手(以下、A選手)に重ねてみると。。。

私の方がお尻一つ分くらい前に体があるにも関わらず、ブレードの先端はA選手の方が前にあります(私のブレード先端は緑線、A選手のブレード先端は赤線)。

つまり、もし私とA選手がこのままフィニッシュラインを越えていたら、たとえ私の方が体は前にあったとしても、勝ったのはA選手ということになります。

「足出し」をするのとしないのでは、これだけの差が生まれてしまうのです!

「足出し」は、フィニッシュ時の動きであるため、レース中盤と違い抜き返されることなどありません。したがって、フィニッシュライン前で自分が後ろにいた場合でも、最後に逆転できる可能性を秘めた、ある種の「一撃必殺」なのです。

この写真の私は「足出し」をしていませんでしたが、接戦のときは当然「足出し」をします。接戦時は滑っている選手全員が精一杯「足出し」をするので、しょっちゅう大逆転が起こるわけではありませんが、「ショートトラックは最後まで何が起こるか分からない」と言われる所以のひとつだと思います。

ここまでブログを読んで、「足を出した分だけ勝てる可能性が上がるなら、いっそのことスライディングしてしまった方が速くない?」と思った方がいるかもしれません。

残念ながらスライディングはできません!ショートトラックはとても鋭利なブレードを使用しています。したがって、フィニッシュ時のスライディングなどによるアクシデントのリスクを考え、スライディングに限らず、フィニッシュ時の危険なスケーティングは禁止されています。

意図的な危険動作はもちろんのこと、「一生懸命足を出した結果、バランスを崩しブレードを跳ね上げてしまった」といった、意図的でない場合にもペナルティの対象となってしまいます。

接戦でフィニッシュラインを迎える選手たちは、精一杯足を前に出す一方で、決して危険なフィニッシュ動作にならないようギリギリのところで踏ん張っています。

ちなみに、危険なフィニッシュ動作にならないよう気を付けつつ足を大きく前に出すのは意外と難しく、テクニックが必要です。「足出しが上手い」というのは、それだけで一つの武器になるくらいです。

『ショートトラックにはフィニッシュの瞬間に逆転の可能性を秘めた「足出し」がある!』というのを覚えておいていただければ、ショートトラックを最後の最後まで楽しめると思います!

ショートトラックを見る機会があったら、是非「足出し」のことを思い出してみてください!